sd.gif (2133 bytes)
Robert Todd Carroll

SkepDic 日本語版
vertline.gif (1078 bytes)

古代の宇宙飛行士、エーリッヒ・フォン・デニケンの『未来の記憶』
ancient astronauts and Erich von Daeniken's Chariots of the Gods

`古代の宇宙飛行士'という語は、地球の古代文明に宇宙人が深く関与しているという、思いつきの見解を示したものである。このアイデアを唱道している者のうち、もっとも悪名高いのは、この話題について何冊か著作があるエルリッヒ・フォン・デニケンである。たとえば彼は『未来の記憶』 (Chariots of the Gods? Unsolved Mysteries of the Past) において、古代人の記憶や能力を一蹴している。フォン・デニケンは、古代文化の伝説や芸術や社会組織などが、別世界からやってきた古代の宇宙飛行士によってもたらされたと主張している。彼は古代人の記憶だけではなく、その文化や文明自体の能力についても疑問を表明している。先史人類は独自の芸術や技術を開発することはなく、宇宙からやってきた訪問者に芸術や科学を学んだというのだ。

フォン・デニケンの主張を裏付ける証拠はどこにあるのだろうか?そのいくつかは詐欺である。たとえば、彼は遺跡から発掘されたという土器の写真を作成した。この土器には空飛ぶ円盤が描かれており、聖書時代のものだといわれている。しかし、ノバ(公共放送のテレビ番組)の調査チームは、この古代のものとされる土器を造った陶芸家が見つかっている。彼らは詐欺の証拠を持ってフォン・デニケンに、立ち向かった。デニケンは、証拠を見せないと信じない人間がいるのだから偽造は正当化されるのだ、と答えたのだ!

しかし、フォン・デニケンの証拠のほとんどは見かけ倒しか欺瞞的議論でしかない。彼のデータは主に考古学の遺跡や古代の伝説に基づいている。彼には古代の宇宙飛行士という仮定がまず最初にあり、データはすべてそれに合わせるものでしかない。たとえば、彼はペルーのナスカの砂漠にある巨大な動物画が、古代宇宙人の空港だとしている。地上画の幅が滑走路としては狭すぎて、現実にはどんな航空機にも無意味だという事実を、彼は都合よく無視している。これら地上画が原住民の科学や神話に関係しているだろうとは考慮しないのである。また、彼は以下のような誤った二者択一的議論を頻繁におこなう:

「このデータは、こうした無知蒙昧の民が自ら行なったと仮定するか、さもなくば、反重力装置がすでに発明されている他の惑星からやってきたに違いない、きわめて先進的な人々の手助けを得たという、然るべき見解を受け入れるしかないのだ」

フォン・デニケンの見解には多くの批判が集まっているが、ロナルド・ストーリーはその中でも抜きん出ている。フォン・デニケンを批判するもののほとんどは、先史人類が、デニケンの言うような見込みがなく無能で忘れやすい野蛮人ではなかったことを指摘している。(少なくとも、彼らは異星の教師の言語と教示を理解するだけの知性を持っていたわけだ--しかもまったく恐れることなしに!)私たちは古代人がどうやって驚くべき物理的技術的能力を獲得したのか、すべてを理解しているわけではない。たしかに、それは事実である。古代エジプト人が砂漠の中にどうやって巨大なオベリスクを建てたのか、石器人がどうやって石を切り出してドルメンや墓地回廊に仕立てたのか、私たちにはわからない。私たちはイースター島の巨大な石像に驚嘆するし、誰がどうやって、何のためにこれらを造ったのか、それになぜこれを建てた彼らがその地を去ったのか、興味は尽きない。誰かがこの疑問に対する解答を出すことができるだろう。ただしそれは科学的研究によるもので、疑似科学の思いつきによるものではないだろう。たとえば、パプアニューギニアでは今でも墓の上に巨石が置かれているのを見ることができる。そこに住む現代の石器民族を調査したところ、石器時代人がロープと天然の建設資材、木製のテコとシャベル、それに少しばかりの知恵と労力で、どうやって石を運んだか教えられたのである。

先祖の記憶力が私たちのそれに比べてひどいものだから宇宙の訪問者の記憶や彼らが何者なのかの記憶もとどめていないのだ、などと信じる理由はない。古代の神話や宗教的物語が、古代の神官によって記録された宇宙飛行士のことが歪んで不完全なかたちで伝えられたものだ、というが、それを裏付け得るような証拠ほとんどない。これに反する証拠――先史人類や`原始人'がきわめて知的で才能に富んでいた(いる)こと――なら山ほどある。

もちろん、宇宙からの訪問者が数千年前の地球に降り立って私たちの先祖と接触を持った可能性もないわけではない。しかし、先史人類の芸術や技術、文化は、先史人類自身に手によるものだと考えるべきだろう。フォン・デニケンのような説明をでっちあげる必要があるだろうか?こうすることで理論は神秘的でロマンチックなものになるかもしれないが、いっそう不合理なものになる。特に理論が私たちの考えている世界との一貫性を持たない時は、なおさらである。古代の宇宙飛行士という仮説は不必要だ。オッカムの剃刀を適用して、この仮説は排除すべきだ。

関連する項目:エイリアン・アブダクション (alien abductions)火星の人面岩 (the face on Mars)シリウス (Sirius)ゼカリア・シッチン (Zecharia Sitchin)UFOsヴェリコフスキー (Velikovsky)



参考文献

読者のコメント

Bullard, Thomas E. "Ancient Astronauts," in The Encyclopedia of the Paranormal edited by Gordon Stein (Buffalo, N.Y.: Prometheus Books, 1996), pp. 25-32. $104.95

De Camp, L. Sprague. The Ancient Engineers (New York: Ballantine Books, 1977).

Feder, Kenneth L. Frauds, Mysteries and Myths, ch. 3, (Mountain View, California: Mayfield Publishing Co., 1990). $15.96

Story, Ronald. Guardians of the Universe (New York: St. Martin's Press, 1980).

Story, Ronald. The Space-gods Revealed: a Close Look at the Theories of Erich von Daniken, 2nd ed. (New York: Barnes & Noble, 1976).

Copyright 1998
Robert Todd Carroll
Last Updated 11/23/98
日本語化 09/30/99

larrow.gif (1051 bytes) vitalism

Joel Wallach, the Mineral Doctorrarrow.gif (1048 bytes)