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Robert Todd Carroll

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オルゴン・エネルギーとウィルヘルム・ライヒ orgone & Wilhelm Reich

オルゴンは``宇宙の根源エネルギー''の1種で、1930年代にウィルヘルム・ライヒによって発見されたとされている。ライヒは、オルゴン・エネルギーは世界にあまねく存在し、空の色も政治革命の多くが失敗したのも、よきオルガスムを得るのにもオルゴン・エネルギーが関係していると主張していた。オルゴン・エネルギーは、生物の場合はバイオ・エネルギーとか生命エネルギーなどと呼ばれる。ライヒは、オルゴン・エネルギーは``視覚や熱、電気、それにガイガー・ミューラーカウンターによって(その存在は)明白である''と信じていた。だが、オルゴンエネルギーを証明できたのは、このエネルギーの本物の信者(オルゴノミーを科学的に実践しているオルゴノミストの連中)だけだった。

ライヒは新しい科学(オルゴノミー)を創始し、バイオンなどオルゴン以外の物体も発見した、と主張した。ちなみに、現在までバイオンを検出できたのはオルゴノミストだけである。バイオンとはオルゴン・エネルギーの小胞で、生命でも非生命でもなくその中間的存在だとされている。

ライヒは1957年11月3日、ペンシルバニア州ルイスバーグの連邦刑務所で死亡した。彼は侮辱罪で刑務所へ送られたのだ。ライヒに罪科が課されたのは、オルゴン濃縮器やオルゴン``シューター''といったいんちき医療器具の販売差し止め命令に従わなかったためだ。主張によると、これらの器具はオルゴン・エネルギーを集めて分配することができるとされ、どんな病気もこれですぐに直る、とされていた。おそらく誇大妄想は例外だったのだろう。

連邦食品医薬品局はオルゴン・エネルギーなど存在しないと宣言するだけでなく、ライヒの著書いくつかを焼かせたりもした -- これが焚書を行ったことになって、衆目を集めてしまったのだ。もし政府が彼の本を焚書に処したのなら、ライヒはきっと偉大な天才に違いない!こうしたわけで、オルゴン理論は続いているのだ。政府の決定にはいくつかばかげた点があるように見える、これは決定をやっている連中が無能だからだ、という理屈と同じである。

科学者のコミュニティではまったく地位を得ることができなかったが、ライヒのアイデアはアメリカン・カレッジ・オブ・オルゴノミーのエルスウォース・F・ベーカー医学博士や、オレゴン州アッシュランドにあるオルゴン生物物理学研究社のジェームズ・デメオ博士らに率いられた献身的な信者多数に受け継がれている。ベーカーの後継者(彼は1985年に死去している)やデメオは科学者ライヒとオルゴノミーを擁護している。ライヒは自信をしいたげられた天才とみなし、反対者を道化師かバカだと見なしていた。デメオとベーカーもこれと同じことをしている。両者とも、カール・せーガンの警告を忘れ去っている:人はガリレオを嗤うだけでなく、ヤボな道化師も嗤うものだ。

関連する項目:病的科学 (pathological science)



参考文献

読者のコメント

Carlinsky, Joel "William Reich--Epigones of Orgonomy: The Incredible History of William Reich and his Followers," Skeptic, Vol.2, #3.

Gardner, Martin. Fads and Fallacies in the Name of Science(New York: Dover Publications, Inc., 1957), ch. 21. $6.36

Copyright 1998
Robert Todd Carroll
Last Updated 11/23/98
日本語化 03/17/00

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