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Robert Todd Carroll

SkepDic 日本語版
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魔女・魔術師
witches, sorcerers

「魔女を活かしておいてはならない」と聖書の出エジプト記は述べている(xxii, 18)。これをはじめとする聖書の勧告や戒律は、魔女を定義すると同時にその運命を決定づけた。魔女や魔術師は、邪悪な者で神に反逆したが、神が命を助けた者たる サタン と共謀する者であった。

今日では、典型的な魔女は黒いマント姿の老婆で、とんがった黒い帽子をかぶり、ほうきにまたがって満月を横切る。子どもたちはハロウィーンに魔女の格好をして、敬虔なキリスト教徒の一部の顔をしかめさせている。一方ハリウッドは、サイコキネシス心理操作や呪いといった各種超自然力をはじめとするオカルト技能を持ったセクシーな女性のイメージを作り上げる。「ペイガン」または反キリスト教的なニューエージ宗教は魔女や魔術師と同一視されることもある。一部の敬虔なキリスト教徒が、かれらが魔術を実践すると思っていたり、あるいはかれらの教義の中で魔術 (magick) や「魔法 (the craft)」を実践すると述べていたりするからだ。こうした集団の一部は自ら「魔女」を名乗り、自分たちの集団を「魔女団」と呼んだりする (なかには「ワーロック、魔導師」と呼ばれるとえらく機嫌を損ねる人もいる。辞書によればこの用語は男性の魔法使いだとされているからだ)。こうした集団の一部は「魔術師」を名乗り、サタンを崇拝する、つまりサタンを信じてサタンの超自然オカルト力の一部を身につけられると考えている儀式を行う(中には「魔術師」と呼ばれるとえらく機嫌を損ねる人もいる。辞書によればこれは、儀式によって邪悪な力の支援を求める人物として定義されているからだ。)でもほとんどのニューエージ魔女や魔術師たちはサタンを崇拝しないし、むしろオカルトや魔術 (magick) や、一種の自然宗教を再考しようという試みと結びついている。こうした自然宗教のメンバーたちは、古代の非キリスト教(ペイガン)宗教、たとえば古代ギリシャやケルト系宗教と自然崇拝を結びつける。時にケルト系の影響が強い。ネオペイガンたちはまた、男女ともに魔女と呼ぶ。こうした自然宗教の中で最大のものは ウィッカ である

キリスト教神話の魔女たちは、サタンとセックスをして、魔法の力を使って各種の悪いことをやった。この神話の集大成は、15世紀から18世紀にかけての魔女のサバトの描写に出てくる。サバトはミサの儀式をあざけったものだ。魔女や魔術師は、夜にほうきやヤギにまたがってえんとつの上に飛び上がり、そこで悪魔(羽の生えたガマガエルやカラス、黒猫、雄ヤギの形をしている)が冒涜的なミサを執行する。またわいせつなダンスも行われ、晩餐と、巨大なおなべでのクスリの醸造も行われる。晩餐に供されるのはおいしい子供や死体などの料理だ。魔女の酒は、人を傷つけたり殺したり、ウシを解体したりするためのものだったらしい。 [de Givry, p. 83] サタンの謎に参入を許された者たちは、何らかの肉体的な徴を与えられる。たとえば左目の下に蹄の跡をつけるなど。悪魔はヤギやサテュロスなど、角や蹄や尻尾や変な翼の生えた神話的な生き物として描かれた。これは天使と人と獣を馬鹿にしたものだ。サバトの特別な特徴として、悪魔の尻への儀式的なキスが含まれる [de Givry, p. 87]。これは伝統的なキリスト教儀式である、跪いて聖職者の手や指輪に期すするという改宗の儀式を明らかに馬鹿にしたものだ。魔女のサバトを目撃したという無数の証言が記録されている。たとえば、女性羊使いのアン・ジャクリン・コステは、17世紀半ばに洗礼者ヨハネの祝宴の夜に、仲間と自分が恐ろしい叫び声を耳にして、

こんな恐ろしい叫びや、各種の動物たちの絶叫がいったいどこからくるのかと見回すと、かれらは山のふもとにネコやヤギやヘビや竜やその他あらゆる邪悪で不ジュね不潔な動物たちの姿を見いだし、それがサバトを行ってすさまじい混乱を引き起こし、想像できる限り最も汚らわしく不敬な言葉を口走り、空気をきわめて恐ろしい呪詛で満たしていたのだった。 [de Givry, p. 76]

こうした物語は何世紀にも渡って語りつがれ、敬虔なキリスト教徒たちはそれが信頼できるものかどうかつゆほどの懐疑心も持つことなしに受け入れてきた。こうした物語は妄想とは思われず、正確な歴史と思われてきた。

Pierre de l'Ancre は、1610 年に刊行された天使や悪魔や魔術師に関する本で、サバトを目撃したと述べている。その描写はこんな具合だ:

会合の客を見ると、それぞれが彼女の横に悪魔を侍らせ、そしてこの晩餐では死体や絞首刑に会ったものの肉、先例を受けぬ子どもたちの心臓、そしてその他キリスト教徒たちの習慣や供用になじみのない不潔なる動物たちしか供されないと知り、その料理すべてが味気なく塩もないのである。

de l'Ancreなどの本における記述や、数百年にわたる芸術作品におけるサバト活動の描写は、楽しいフィクションや病んだ精神の心理的な表現とは思われなかった。こうした発想は、われわれにはばかげていてとても真に受けられないものだが、何百万という敬虔なキリスト教徒たちには神の心理として受け取られていた。一層不思議なのは、今日でもなお子供を食べたり動物を生け贄に捧げたり、それを性的暴行や悪魔の影響と組み合わせた似たような話を信じる人がたくさんいるとういうことだ。

こうしたしつこい各種の、角の生えたでかい赤い尻尾をして性欲旺盛なサタン的生き物の神話を解釈する仕事はフロイト屋さんたちに任せよう。子供の誘拐と性的な暴行、肉体切断や殺害、股間に長い棒をはさんで、魔法のクスリを塗って悪魔の雄ヤギと性的融合を果たすべく飛ぶ女性、そして変身といった超自然力を備えた動物となれば、分析も容易だろう。わたしが思うに、魔女や魔術、特にそのサバトは性的抑圧のおなべで煮込まれ、教会が創り出し、認めて奨励したポルノとして、実際に行われたかはさておき、芸術や分館の中でおおっぴらに取引するための口実としてでっちあげられたものだろう。

確かに、そうした人々の糾弾が行われたのも間違いはない。特に地方部で、異端の過去とのつながりを維持した人々は糾弾された。だが、何世紀にもわたり拷問されて手足を切断された犠牲者たちから無理矢理ひきずりだした魔術の説明が、その拷問者たちの想像力から生み出されたのではないかと思ってしまうのは当然だろう。異端審問官の権力は絶大だったし、その拷問は実に多様できわめてサディスティックだったから、何千者犠牲者たちは自分たちが悪魔に憑かれた邪悪な存在だと思いこまされてしまったわけだ。残虐行為と妄想は何世紀も続いた。魔女狩りはイギリスでは1682 年まで続き、アメリカのマサチューセッツ州セーラムでは、 1692 年に魔女19名が絞首刑となった。魔女が最後に法廷で処刑されたのは、1793年のポーランドでのことだった。法廷外で魔女が処刑されかけたのは、アイルランドで農民二人が、魔女を彼女自身の暖炉で焼こうとしたときだった[Smith, p. 295]。

サタンと手を組んで教会の象徴や儀式をあざけり、汚そうとする反キリスト教教会的な魔女や魔術師を生み出した心理学的な基盤がなんだったにせよ、それが現実的にもたらしたのは、教会の力の増大だった。敬虔なキリスト教徒たちが何人の魔女や異端者や魔術師たちを拷問して火あぶりにしたのかはだれにもわからない。だが異端審問の生み出した恐怖は、キリスト教世界のあらゆる人々に影響しただろう。魔女として糾弾されたら、有罪宣告されたも同然だった。否定すれば罪を認めたことになる。魔女ならもちろん魔女でないと主張し、魔術を信じないと主張するだろうから。 川に放り込め! 沈んでおぼれたら魔女でない。泳いだら悪魔が支援していることがわかるから、引きずり出して火あぶりにしろ。というのも教会は流血を好まないのだ! まさに教会は、スターリンやヒットラー以上の恐怖政治を敷いていた。教会の恐怖政治は数世紀も続き、キリスト教世界全域に広がった。教会の恐怖政治はまた、もっぱら女性に向けられた。したがって、メンバーたちが魔女や魔術師を名乗る宗教が、反キリスト教となり、異端で女性中心で悪魔崇拝的になるのも無理もない。こうしたニューエージ宗教が、教会の非難するものであればなんでも(たとえばエゴイズムや、同性愛も異性愛も含めた大人の健全な性)を何であれ称揚し、教会の称揚するもの(たとえば自己否定や女性の従属的な役割)をなんでも糾弾するのも仕方ないことだ。だれがかれらを責められようか?

関連項目として魔術 (magick), 奇跡, ペイガン/異端サタンウィッカ を参照


further reading

"SPIRITS, WITCHES, & SCIENCE: WHY THE RISE OF SCIENCE ENCOURAGED BELIEF IN THE SUPERNATURAL IN 17TH-CENTURY ENGLAND" by Richard Olson

The Witches: Myth and Reality by Adrian Nicholas McGrath

Carus, Paul. The History of the Devil and the Idea of Evil (La Salle, Illinois: Open Court Publishing Company, 1974), unabridged reproduction of the original 1900 edition.

de Givry, Grillot. Witchcraft, Magic & Alchemy, trans. J. Locke (New York: Dover Publications Inc., 1971), an unabridged republication of the Houghton Mifflin edition of 1931 by a man of incredible gullibility.

Hicks, Robert D. In Pursuit of Satan : the Police and the Occult (Buffalo, N.Y.: Prometheus Books, 1991).

Sagan, Carl. The Demon-Haunted World - Science as a Candle in the Dark, ch. 7 and ch. 24 "The Demon-Haunted World," (New York: Random House, 1995). Chapter 24 is written with Ann Druyen and contains a synopsis of Friedrich von Spee's Cautio Criminalis (Precautions for Prosecutors) (1631), which details the irrational and sadistic methods of the witchhunters.

© copyright 1998
Robert Todd Carroll

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Last updated 11/24/98

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