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Robert Todd Carroll

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クラスターの錯覚 the clustering illusion

クラスターの錯覚とは、ランダムに起こるべきある出来事がまとまって起 こったとき、それをランダムでないと錯覚してしまうことを指す。たとえば、 コイン投げで表が続けて4回出たら、多くの人は驚くだろう。しかし、20回連 続してコインを投げた場合、表が続けて4回出る確率は50%もあるのだ。

確率的にいえば、むしろ20回コインを投げて表と裏が規則正しく交互に表 れる方が、起こりにくい、まれな出来事なのである。こうしたランダムな事 象ではいつでも、2回、4回、6回あるいは8回と試行回数が少ない場合、確率 的に予測されるとおりの論理的な結果が得られることは少なくなるのである。 長い目で見れば、コイン投げでも表と裏の出る確率は各々50%となるだろう (コインと投げ方に細工をしないとする)。しかし、試行回数が少なければ、 結果として得られる確率にはいろいろな場合が出てくるし、その中にはなか なか起こり得ないと考えられるような場合も含まれてくるだろう。

ESP実験ダウジング では、偶然より良い結果が得られる場合もあるだろう。しかし、こうし た結果は、その出来事が偶然ではないということを示しているわけではない のだ。実際に、こうした出来事は偶然の法則によって予測可能なのである。 ランダムでないことの証拠ではなく、むしろランダムであることの証拠なの である。ESP研究者は、``当たり''が連続して起こることから、超能力が移ろ いやすい不安定なものだと考えたりする。ESP研究者は実験の開始と終了を恣意的に選ぶが、それは彼ら が超能力を変動するものと考えていることと、ランダムな事象の確率につい て無知なためである。クラスターの錯覚に確証 バイアスを組合わせると、きまって自己 欺瞞と妄想が生じる。公式のようなものである。

クラスター幻想については、バスケットボールの``ホットハンド''を題材 とした古典的研究がある (Gilovich, Vallone, and Tversky)。バスケットボー ルの選手やコーチ、ファンは一般に、選手に``ホットな乗り (cold streaks)''と``醒めた乗り (hot streaks)''があると信じている。フィラデ ルフィア・セブンティナイナーズで1980年のシーズンにシュートを決めた選 手について詳細に調査がおこなわれた。選手はシュートを連続して決めたり 外したりするが、それは確率的に期待される以上のものではなかった。また、 ボストン・セルティックスのシュートについても2シーズン以上にわたって調 べてみたところ、最初のシュートを決めた選手は次のシュートを75%の確率で 決めており、また最初のシュートを外した選手は75%の確率で次のシュートを 外している。バスケットボールの選手はシュートを連続して決めるが、それ は偶然の範囲内にある。選手が`乗っている'とか`醒めている'とかいうのは 錯覚にすぎない。もっとも、``ホットハンド''のビリーバーはこの証拠を見 せても拒絶する場合が多い。経験のおかげで``もっと良くわかってる''と言 うのだ。



参考文献

Gilovich, T., R. Vallone, and A. Tversky, "The hot hand in basketball: On the misperception of random sequences," Cognitive Psychology, 17, 295-314.

Gilovich, Thomas. How We Know What Isn't' So: The Fallibility of Human Reason in Everyday Life (New York: The Free Press, 1993) $12.76

Copyright 1998
Robert Todd Carroll
Last Updated mm/dd/yy
日本語化 mm/dd/yy

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