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我が子と癌について語り合うために

Talking With Your Child About Cancer

U.S. DEPARTMENT OF HEALTH AND HUMAN SERVICES
Public Health Service
National Institute of Health

日本語訳:Yasuhiro TABATA <_tabata_@yahoo.co.jp>

テキスト版:http://ha1.seikyou.ne.jp/home/tabata/ChildInCancer.txt
プロジェクト杉田玄白正式参加



 我が子が癌だと聞くことは恐らくあなたが今まで直面した中で最もつらい知らせでしょう.しかし今,親としてあなたはどのように我が子に語るべきかを決めなければなりません.

 「誰が我が子に告げるべきか」「いつ我が子に告げるべきか」「我が子に何を告げるべきか」 これらは多くの親達が尋ねる質問です.この冊子はあなたがこれらの質問の答えを見出すのを助けるために書かれました.

 「我が子に癌について総てを語るべきだろうか」あなたは恐らく既にこう尋ねているでしょう.過去においては子供達には診断が伏せられていることがよくありました.しかし親や医療スタッフ達が秘密にしているにもかかわらず殆の子供は自分が重い病気に罹っている事を知っているということが分かってきました.

 多分,あなたの子供は既に何か悪いことが起こったのだと気付いているでしょう.彼は気分が良くないだろうし,医師が頻繁に来るのが分かるし,不快な恐ろしい検査をされるのですから.また,彼は家族や親しい友人達の心配や恐れを薄々感じているでしょう.

 もし誰も彼に病気について言わなければ,子供は自分の症状を説明するための想像と恐怖に落ち込むでしょう.癌の子供はしばしば自分の病気は『僕が誰かにした悪いことに対する罰なんだ』と思い込みます.彼は不必要な心配と罪悪感を感じるでしょう.子供に病気について真実を告げることによって彼の心配を少なくし罪悪感を感じることを防ぐことができる,と医療関係者は一般に考えています.また,真実を知ることによって彼は治療により協力してくれます.

*原註 簡便のため,"彼"を両方の性の子供を表すのに使います.

■ 誰が我が子に告げるべきか

 この質問に対する答えは個人的なものです.それはあなたとあなたの子供との関係,そしてあなた自身の感情と態度に左右されます.子供にわたし自身で告げたい,と思うかもしれませんし,主治医に病気について説明してもらいたい,と思うかも知れません.いずれにせよ,あなたか,あなたの子供と親密な誰かが彼をサポートし,勇気付け,愛するべきです.

 あなたが自分の子供に告げることを選んだなら,誰かに相談することはあなたが何を言うかを決めるのに助けとなるでしょう.あなたの子供の主治医,看護婦,ソーシャルワーカーなどの医療スタッフはあなたにアイデアを提供できるでしょう.他の癌の子供の親達と相談しなさい.アドバイスを受けるために例えばキャンドルライターズ小児癌協会のような支援団体にコンタクトをとりなさい.あなたが何を言いたいかを考え,それを他の相談に乗ってくれる大人達に相談し,それを誰か親密な人に対してリハーサルをすることであなたの気分はさらに楽になるでしょう.

* Candlelighters Childhood Cancer Foundation
Suite 200, 1312 18th Street NW, Washington D.C. 20036
or call (202)659-5136

   (挿絵) J.P. 8歳半

■ いつ我が子に告げるべきか

 あなたがあなたの子供の個性や気質を判断するのに最も長けていれば,恐らくあなたがいつ子供に病気について告げるべきかを決めるのに最も適任でしょう.子供に癌であることを告げる『正しい』時などありません.静かな時を選び,子供と二人きりになれる場所を選びなさい.そうすれば落ち着いた,支援的な雰囲気を作り出せます.診断が出たらなるべく早く告げるのが良いでしょう.日にちを延ばせばそれだけ子供は想像する時を得,後で振り払うのが困難な恐怖を育てます.

 子供に癌であることを告げる前に,子供の癌の種類や子供の受ける治療について理解しておく必要があります.あなたが正しい情報を与えることができるならばそれだけ子供は安心できるでしょう.

■ 何を我が子に告げるべきか

 情報の量や告げる方法は子供の年齢と知性の成熟度によって変わります.原則として,優しく,隠し立てせず,正直なアプローチが最善です.

 以下の記述は,子供の発達の一般的な段階と,様々な年齢層の子供が深刻な病気についてどのように受け止める傾向にあるかを述べたものです.これらは一般的なガイドラインに過ぎないのだということを心に止めておいてください.あなたの子供は複数のカテゴリーに当てはまるかも知れませんし,どれにも当てはまらないかもしれません.

新生児から2歳まで

 この年代の子供は癌のような病気を理解することができません.それは見ることもできなければ,さわることもできないのですから.彼らは自分に何が起こっているか,という事により関心があります.親との分離が最大の心配事です.1歳以上の子供の関心事は,どんな気持ちがするか,自分の周りの物事をどうコントロールするか,ということです.ほとんどの非常に幼い子供達は医療行為や検査を恐れます.多くの子供は泣いたり,逃げたり,もがいたりして,なんとか阻止しようと試みます.

 18ヶ月以降の子供は自分の周りの起こっていることについて考え始めます.正直なアプローチが最善だというのはこのことによるのです.病院に行くのに『病院には行かない』とか,実際には痛いのに『注射は痛くないよ』などとは決して言ってはなりません.それよりも子供に『注射はほんの一瞬痛いし,泣いてもいいよ』と言い,あなたが子供の感情を理解し,受け入れているのだということを彼に分かるようにしなさい.あなたの正直さによって子供があなたを信頼するようになります.

 癌の子供には治療の妨げにならず,健康を害さない限り,幾つかの選択肢を与えるべきです.例えば,口から薬を飲むなら子供に『アップルジュースかグレープジュースかアップルソースのどれに混ぜるのがいい』かを尋ねる,などのようなことです.

   (挿絵)    「注射は痛いから嫌いだ.注射針なんて大嫌いだ」 デヴィッド 12歳

 2歳から7歳まで

 2歳から7歳までの子供はもう少し病気について理解できます.彼らは物事を自分自身の1つの見方からだけ見,世界は自分を中心に廻っていると考えがちです.彼らは物事を1つのことと結び付けます.例えば,普通病気を何か1つの特別なこと − ベッドの中で夜更かししたとか,チキンスープを飲んだとか − と結び付けます.この年代の子供はよく自分の病気が特別な行為によって起こったと考えます.従って,良くなるためには自動的にか,または幾つかの規則によらなければならないと考えます.

 この年代の子供には『君は病気になるような悪いことは何もしなかったよ.病気や治療は君が悪いことをしたことへの罰じゃないんだよ.』と言って安心させてあげる必要があります.また,治療のやり方を正直に,そして現実的に説明してあげなければなりません.『検査や治療は君が良くなるのを助けるために行うんだ』という事を子供に気付かせてあげましょう.

 病気に関する簡単な説明も重要です.癌を親しみやすい物に例えて話すことは診断について説明するのに役立ちます.この種の例え話は子供の癌の種類に合わせて作るべきです.例えば,2歳から7歳の子供は善悪を理解します.子供の病気を【善玉細胞】と【悪玉細胞】の戦い,という言葉で説明するのを試してみましょう.『あなたが飲んでいる薬は悪玉をやっつけることができるように善玉を強くする薬なのよ.』と.

   (挿絵)
   「カテーテルを入れてもらってうれしい.もう突き刺されなくてすむもの」
    ローリ 11歳

7歳から 12 歳まで

 7歳から12歳までの子供はまだ彼ら自身の経験の中に制限されていますが,複数の物事の関連について理解し始めています.それで子供達は彼らの病気を幾つかの症状からなるものだ,と理解します.しかし彼らはまだ『病気は悪いことをした結果だ』と思う傾向があります.彼らは『良くなるためには薬を飲んで医師の言う通りにしなければならない』ということが分かっています.この年代の子供は治療に協力的になることが出来ます.

 この子供達へは癌についてさらに詳しく説明できますが,それでもまだ親しみやすい設定を使うべきです.この年代に対しても例え話はよい方法です.例えばこう言ってみましょう.

 体の中には色々な種類の細胞があって,それぞれ違う仕事をしています.人間みたいに細胞も仕事をするには皆で一緒に働かなければなりません.癌の細胞は良い細胞の仕事の邪魔をする厄介者のようなものです.治療はこの厄介者細胞を追い出すのを助けるので,他の細胞はまた一緒に仕事をすることができるのです.

12歳以上

 12歳以上の子供の多くは物事の複雑な関係を理解することが出来ます.今や彼らは彼ら自身が経験しなかった事についても考えることができます.しかし10代の子供はまだ病気を,疲れや日常生活の制限のような特定の症状として考えます.しかし同時に彼らはそれらの症状がなぜ起るのか,といったことも理解します.そこで,あなたは子供に『癌は体の中のほんのいくつかの細胞が狂ってしまった病気だ』と説明することができます.

『この狂ってしまった細胞は普通の細胞よりも素早く成長し,体の他の部分へ侵略し,通常の体の機能を駄目にしてしまいます.治療の目標はこの狂った細胞を殺してしまうことです.そうすれば体の機能は再び普通に戻り,症状も消えて行きます.』と.

   (挿絵)
   「メリッサの家」 メリッサ 7歳

■ 会話をやめないようにしましょう

 治療とその後の看護を通して,あなたは子供とオープンに語り合い続けるべきです.あなたの子供がこれらの段階を通って行く間に,彼はさらに複雑な質問をしてくるでしょう.早めにオープンに会話できるよう準備することによって,今あなたの子供を支えることができる,と同時に来たる年月の間のあなたと子供の関係を強いものにします.

 時には子供と一緒にいるのは耐えられないように感じることがあります.あなたの子供をあなたの恐怖や怒り,悲しみとして背負わないようにしなさい.子供はあなたがどのように感じているか気付くことがよくあります.実際,子供は親を守るために自分自身の感情を隠すことすらします.あなたの感情が子供との関係に邪魔になると思うのなら,その感情についてあなたの子供と話し合ってみましょう.子供にどうしてあなたが悲しんでいるかを話す事によって,子供は『僕のことを怒っているんじゃないんだ』と安心し,自分の感情を表現するようになります.

 治療の間,あなたとあなたの子供,そして医療チームはパートナーであるということを覚えておくことは重要です.子供が本当に自分がこのチームの一員であると感じているならば,彼は治療を受け入れ,もっと協力的になるでしょう.子供に次に何がされるかを言い,彼自身の治療について簡単で安全な決定をさせることによってそう感じるのを助けることができます.

 例えば,子供に子供用の同意書にサインするよう頼むのです.それには彼が受ける治療について書かれていて,それにサインすることによって子供はその治療を理解し,協力することに同意したことを宣言します.そうして彼は自由に質問できると感じることになります.

   (挿絵)
   「待つことは総てのうちで最大の苦痛だ」 ロビー 15歳

   (挿絵 血を採って貰いましょう)
   「時が経つにつれて段々それに慣れてきた」 スタッチ 16歳

■ 子供が発するであろう質問

 子供達は生まれながらに好奇心旺盛なので,自分の病気や治療について沢山の疑問を抱えているでしょう.あなたの子供があなたのことをよく知っており,また信頼しているならば,あなたにその疑問に答えてもらいたいと思っているでしょう.疑問をすぐに尋ねる子供もいれば,後になってから尋ねる子供もいます.以下に述べるのはあなたの子供がするであろう質問の幾つかにあなたが答えるのを助けるために書かれたものです.

『なぜ僕が?』

 子供も大人と同様,自分がなぜ癌になったかを疑問に思います.彼は『僕が何かしたから癌になったんだ』と思うでしょう.癌の子供に対しては正直に言うべきです.『それは誰も(専門家達でさえも)どうしてあなたが癌になったのかわからないの.それはあなたが何かをしたからでもなければ,誰か他の人からうつったのでもないのよ』と.

『僕は良くなるの?』

 しばしば子供は家族や友人が癌で亡くなった事を知っています.その結果,多くの子供が自分が良くなるかどうかを尋ねるのを恐れます.その答えが『ノー』ではないかと恐れるのです.あなたは子供に『あなたは重い病に罹っているけれども,薬や放射線や手術が癌を追い出すのを助けてくれる』また,『医師と看護婦と家族があなたを良くするために全力を尽くしている』と言うべきです.これは子供にとって正直で力強い答えになります.彼は多くの人が彼の看護に関わりあっているのを知って安心します.

『僕は何をされるの?』

 子供が癌であると診断されると,多くの見慣れない恐ろしい事が彼に起こります.医院・診療所・病院において,彼は他の癌の子供達が気分が悪そうで,髪が抜けており,時には手足を切断されているのを見るでしょう.ある子供は質問もできないぐらいにおびえてしまい,自分に対して何がされるのかと非現実的な恐怖にとりつかれるでしょう.このような理由で,行う治療,考えられる副作用,それにもしそれが起ったらどう対処するかという事を予め子供に伝えておくべきです.また,癌には様々なタイプがあり,ある子供に行った治療などが必ずしも彼にも行われる訳ではない,と教えておくべきです.

 子供に彼への治療のスケジュールと,それのあらゆる変更を知らせるべきです.子供がカレンダーに医師に診てもらう日や治療や検査の日をつけることによってそれらに備えることができます.

   (挿絵)
   「化学療法の時は寝るに限る.何もしたくなくなるから」 アマル 12歳

   (挿絵)
   「何か悪いことが起こった時はそれについて考えず,良いことについて考えるようにしています」 ジェーン 18歳

『なぜ気分の良い時でも薬を飲まなきゃいけないの?』

 我々の多くは薬を飲むことと気分が悪いこととを結び付けて考えています.それで,気分が良い時に薬を飲むように言われると子供は混乱してしまいます.この質問の答えは彼に癌について初めにした説明と関係があります.例えば,気分が良くて病気のような兆候は何もない時にも【悪玉細胞】が隠れているのだ,と説明できます.悪玉を探し出してそれが戻ってくるのを止めるために彼はすぐに薬を飲むでしょう.

『学校の友達に何て言ったらいいかな?』

 癌の子供は友達や学校の知り合いがどう反応するかについて気にしています.長い間学校を休んでいたり,体重が増えたり髪の毛が抜けたりといった身体的変化を来たしている場合は特にそうです.子供を親しい知り合いや学校の友人と付き合い続けるよう励ましましょう.彼の友達は彼が学校から居なくなった時に一体彼に何が起ったのかと知りたがっているはずです.正直に自分の病気と必要な治療について話すよう子供に勧め,癌はうつるものではないと言って友人を安心させるよう提案しましょう.

 総ての人間が,例え大人であっても,癌について彼のようによく知っている訳ではない,と理解させましょう.友人達は彼に対して間違ったことをし『君の病気は重篤だ』と彼に言ったりするでしょう.こういった他の人の言葉は,あなたが安心させているにも関わらず,子供に疑いと恐れを引き起こさせるでしょう.子供に他の人との会話の内容について尋ね,間違いがあれば訂正するようにしましょう.

 他の人はどのように病気に対して反応するか,ということについて子供は2つの重要なことを学びます.1つめは,ある人々は,例え予め教えても,癌についてあまり知らないために間違ったことをし,さらに癌についてそれ以上知るのを恐れる.という事です.2つめは,良い友達は友達であり続け,今までと同様彼がいつも同じく友達である事を知っている.と言う事です.

   (挿絵)
   「みんな嫌いだ!ママも! みんな僕のことを嫌ってる!」 作者不明

『癌になる前のように色んなことをしてもいいの?』

 この質問に対する答えは個々によって,また子供の癌のタイプと治療によって異なります.殆の場合,子供は治療の間,様々な時に制限を受けるでしょう.医師や看護婦があなたにあなたの子供の行動を制限するように言った時,子供になぜそれが必要なのかそしていつそれが終わるのかを告げましょう.ある行動を制限するかわりに他の行動をさせましょう.例えば,怪我をした場合出血しやすいので自転車に乗ることを制限するならば,友達に来てもらって一緒にお絵かきするのはどう?と提案しましょう.

   (挿絵)
   「私の家族は幸せ.だから私は病院に居るときは寂しい」 マレナ 7歳

■ 我が子を支援する

 あなたと同様,あなたの子供も時々不安定になり心配し恐怖を感じています.しかしあなたとは違って,彼は自分の恐れを言葉にすることができないでしょう.それで彼はその恐れを不機嫌−荒れ狂ったり威張り散らしたり−になったり,いつもよりも静かになることで表現します.親として,あなたは子供が普段どのように振舞うかを知っているでしょう,ですから彼がいつもとは異なる振舞いをしたときにあなたはそれに多分一番早く気付くでしょう.遊ぶことは子供にとって恐怖や不安を表現し,それを少なくする方法です,ですから遊ぶよう奨励するべきです.お絵かきやお人形あそび,それに医療器具で遊ぶ事さえも,子供があなたに『僕は何をされるのか分からないんだ』とか『もっと安心と愛が必要なんだ』と表現する手段になるのです.

 自分の感情を表現するのが苦手な子供もいます.こういった子供は悪夢を見たり,摂食障害や問題行動をおこします.しかし学校ではそんなことをしないかも知れません.また成長しているにも関わらず,おねしょや指くわえのような赤ん坊の頃の振舞いを再び行いだす子供もいます.こういったことになったら子供の主治医や看護婦,ソーシャルワーカーや学校のカウンセラーに相談しましょう.

 長年の間にあなたは親として子供に対する【第六感】を育ててきたのだということを忘れてはなりません.子供の振舞い方の問題などを捜し求める必要はないのです.なにか問題があればあなたはすぐにそれに気付くでしょう.また,子供の主治医,看護婦,ソーシャルワーカー,教師,学校のカウンセラーなどはあなたがいまあるような状況に対する経験を持っており,あなたを助けようとしていることを忘れてはなりません.

 以下に挙げた考えは癌の診断と治療の間,あなたの子供を安心させるためのものです.

  1. 『癌はあなたが何か悪いことをしたから出来たものではなく,病気も治療も罰ではない』と言うことを子供に思い起こさせなさい.
  2. 治療とその手順について子供に説明するときは正直にかつ現実的でありなさい.治療に変更が生じたらその総てを子供に知らせなさい.
  3. 誰も−あなたの子供でさえも−あなたが総てを知っていることを要求していない.『知らない』と言うことを恐れてはならない.
  4. 子供にものを尋ねることを恐れてはならない.いま何を考えているか,どう感じているかを尋ねることは子供に新たな恐れを生じさせるものではない.それは彼が既に感じている恐れを表現する機会を作る.
  5. 子供に『悲しんだり泣いたりしてもよい』と伝えなさい.そうすることによって彼は感情を外に出すことができる.
  6. 制限を設けなさい.その間,子供はあなたが設けた規則に挑戦をしかけるだろう.病気の子供に『何をしても良い』と言うのは良くあることだが,それで実際は子供はさらに不安を増す.彼は状況が実際よりももっと悪いのだと想像するだろう.
  7. 健康を害せず治療の妨害とならない限りにおいて子供に自分の自由にできる事を与えなさい.そうすることによって必要な制限にも関わらず子供は成長することができる.
  8. 不安を軽減させる活動を奨励しなさい.お絵かき,人形や医療器具での遊び,ごっこ遊びなどは子供が感情を表現するのを助ける.
  9. 子供に自分の感じていることを話すよう勧めなさい.家族の語らいが多くあるほど不安は軽減する.語ることによって家族全員が病気に対して一致協力することができる.
  10. 大人と同様,子供にも調子の良い日と悪い日があるのだということを見分けなさい.
  11. 医療チームはあなたとその家族を支援し,疑問に答えるためにいるのだということを忘れてはならない.
  12. 子供,特に5歳以下の子供は両親から離れる事を恐れる.子供に『たとえ傍にいないときでもあなたを愛しており,出来るだけすぐに戻ってくる』と安心させなさい.
  13. 友人や家族,それに学校に行かない間でも級友と子供が付き合い続けられるよう助けなさい.また子供に宿題をさせ,すぐにでも学校に戻れると励ましなさい.そうすることで,子供は自分が今でも友人が居,興味と責任を持つ普通の子供だと思う.
  14. 多くのことが起こったにも関わらず,あなたの子供はいままでいつもそうであったようにいまでも素晴らしい子供であり,他の成長期の子供同様に感情的なふれあいを必要としている.今までと同様毎日彼を愛し,共に楽しむ時間を創りなさい.

 子供に癌について話すことは簡単なことではありません.我々はこの冊子があなたの助けになることを望んでいます.また,あなたが子供の兄弟・姉妹・友達に話すときにも役立つでしょう.

 あなたと家族が癌に対処しようとしたならば,恐らく多くの聞きたいことができるでしょう.The National Cancer Institute (NCI) は Cancer Information Service (CIS) という無料電話相談を提供しています.1-800-4-CANCER(1-800-422-6237)をダイヤルしてください.CIS事務所では訓練されたスタッフがあなたの質問に答え,あなたの相談をお聞きします.スペイン語が出来るスタッフもおります.

 この他のNCIの出版物もあなたと家族の助けとなるでしょう.

"Young People With Cancer"
親へのハンドブック.あなたの家族の誰かが癌になった時に
"Talking Time"
癌患者と患者を看護する人々への支援
"Help Yourself"
10代の癌患者への助言
"Hospital Days - Treatment Ways"
血液と腫瘍学の絵本
"Diet and Nutrition"
癌の子供を持つ親のための方法

これらの出版物は無料です.ご希望の方はCISへ電話されるか,以下の住所まで.

National Cancer Institute
Building 31, Room 10A24
Bethesda, Maryland 20892

プロジェクト杉田玄白トップ


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