sd.gif (2133 bytes)
Robert Todd Carroll

SkepDic 日本語版
vertline.gif (1078 bytes)

クリスタル・パワー
crystal power

クリスタル(結晶)とは化学物質が凝固して出来上がった固体である。その内部構造は規則正しく並んだ原子や分子の集まりであり、外面は平滑になっている。結晶粒子はその構成成分によってさまざまな幾何学的構造をとる。クリスタルには美的価値が備わっているため、宝石の世界では長年にわたって珍重されてきた。しかしクリスタルは美的価値以外の性質も備えており、そのため電子産業や光学産業にとって非常に重要なものとなっている。今日では、クリスタルはあらゆる技術分野で用いられている。

過去何世紀にもわたって、クリスタルやその他の宝石は魔術的な治癒力や神秘的な超常的力を持つとされ、求められてきた。こうした信仰は証言プラシーボ効果選択的思考ないものねだりフォアラー効果共感マジック、それに組織的強化にもとづくものにすぎないが、それにもかかわらず、現在でもオカルト信奉者やニューエイジ治療師の間では続いている。クリスタルが治療や保護に有効な魔力を導き出したり、あるいは未来を告げるなどという科学的根拠はない。

クリスタルや宝石の魔力にたいする信仰が前科学時代にあったのは科学知識が欠落していたせいであって、これは仕方のないことだといえる。しかし現代のオカルト者は科学の知識を歪曲・偽造して、自分たちのクリスタル製品への信仰心を煽っているのだ。このクリスタル疑似科学の商人たちによると、クリスタルは善き``エネルギー''を導き、悪しき``エネルギー''をはねつけるのだそうだ。クリスタルは癒しの``波長''で共鳴する``波動''を備えていて、チャクラに作用して陰陽のバランスを整えるという。クリスタルは情緒にも作用するとされ、肉体の癒しだけでなく精神的な問題にも効果がある。クリスタルは精神的な問題を癒すだけでなく、自己表現や創造力、瞑想や免疫機構にも効果があるとか。こうした主張はどれ一つとっても科学的根拠にもとづくものではない。

現在、オーラセラピーではオーラの治療にクリスタル杖が使われている。だがもっとトンデモな疑似科学的主張の中には、クリスタルを正しく並べればコンピュータや携帯電話、電子レンジ、ヘアドライヤー、電灯線、それに他の人間が放射する有害な電磁力から身を守ることができる、というものまである。このバイオエレクトリック・シールドは、モンタナ州のカイロプラクティシャン、チャールズ・ブラウンが発明したものだ。彼はベッドで寝ているとき頭の中に声が聞こえてきて、クリスタルを空飛ぶ円盤形に並べて電磁波から身を守る方法のビジョンを得た、と主張している。``意義のある宝石 (Jewelry With A Purpose)''という商品名で出回っている彼のバイオエレクトリック・シールドは139ドルから数千ドル以上するものまである。イギリスの首相夫人シェリー・ブレアは、こうした魔法のペンダントの一つを身につけている。こうした商品は``魔法的に証明''されていて、``ノーベル物理学賞''にもとづくものだ、とされている。もしこうしたペンダントの防御力にかんする主張が事実だったとしても、希望どおりの結果を得るには、身体すべてをこうした防御装置ですっかり包み込む必要がある。首もとにちっぽけなペンダント一つをぶら下げるだけでは、喉のほんの一部分をわずかばかり守るだけでしかないのだ。

クリスタルがエネルギーの流れを制御したり導いたりする、というニューエイジのアイデアは、ある種のクリスタルが備えている不思議な性質にもとづいているのではないかと思われる。つまり、圧力をかけたときに電荷を生じるという性質である。この性質はピエゾ効果として知られており、1880 年、ピエール&ジャック・キュリーによって発見された。しかしピエゾ効果が実用に用いられるまでには、それ以外の技術が必要だったが、こうした技術は 1950 年代になってようやく開発され、そしてピエゾ効果はレコード針やさまざまな測定機器で実用化されることになった。現在では、こうした機器は``大きな変動を伴う圧力や力、加速度を正確に測定したり記録したりする、ほとんどあらゆる場面で用いられている。''

だがピエゾ効果はクリスタルに治癒力や防御力など与えたりはしない。ニューエイジや新たな異教のオカルトショップでクリスタルを使ったり販売したりする連中が主張していることは間違いなのだ。もっとも、クリスタルを身につけると、あたかも身を守っているかのような感覚を与えはするだろう。クリスタルを使った宝石の持つ美点は、この美的価値という一点に尽きる、ということだろう。

クリスタルで未来を占ったりしても、動物の臓物で未来を占うのと何の違いもない。もっとも、占いなんぞのために昨日と明日の区別も知らない哀れな動物の内臓を引き出すよりは、クリスタルを研磨して使う方がよっぽど人道的だし、それに衛生的ではある。



参考文献

Chittenden, Maurice. "Cherie's magic crystals put the new age in new Labour," The Sunday Times (London), July 19, 1998.

Jerome, Lawrence E. Crystal Power - The Ultimate Placebo Effect (Amherst, NY: Prometheus, 1996). 

Randi, James. An Encyclopedia of Claims, Frauds, and Hoaxes of the Occult and Supernatural (N.Y.: St. Martin's Press, 1995). $11.96

Copyright 1998
Robert Todd Carroll
Last Updated 10/30/98
日本語化 02/25/00

larrow.gif (1051 bytes) cryptozoology

cultsrarrow.gif (1048 bytes)